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[ 自治体編 ]
vol.07
2025.10.23

ライスレジンの「米を大切に」という想いを、農業や環境を守る力に変えたい。

北海道 美唄市
桜井 恒 市長

北海道 美唄市 桜井 恒 市長

プロフィール

2007年に北海道大学農学部を卒業後、医療器具大手のオーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社に新卒入社。2012年にはリノ・メディカル株式会社へ転職。2015年に江別すずらん病院に入職した後、2023年には美唄市長選に立候補し当選。

 

株式会社ライスレジン 代表取締役COO 奥田 真司

プロフィール

2006年に野村證券株式会社に新卒入社。富裕層向けのリテール業務や上場企業などの法人向けコンサルティング業務を経て、戦略企画業務に従事。20205月より、バイオマスレジングループに参画。バイオマスレジン南魚沼 取締役副社長に就任した後、20224月に社長執行役員に就任。2024年より株式会社ライスレジン 代表取締役COOに就任。

北海道美唄市はかつて、道内有数の炭鉱都市として発展していました。札幌と旭川のほぼ中間に位置し、石狩平野における穀物生産が盛んな地域です。今回は、美唄市 桜井市長とライスレジン代表取締役COO 奥田が「農業への取り組みとライスレジンへの期待」をテーマに、対談しました。

知る人ぞ知る魅力ある街「美唄市」の課題とは

美唄市は観光や食、市民活動、地理的な条件の良さなど、多くの人に知られていない魅力を持つ多様性に富んだ街。世界的な彫刻家である安田侃(やすだかん)さんの作品が野外に展示されているアルテピアッツァ美唄や、ラムサール条約に登録されている宮島沼が人気なのだそうです。またソメイヨシノの北限群生地として知られる東明公園もあり、豊かな自然を感じられる環境も整っています。そうした中で桜井市長は就任以来、「対話から始めるまちづくり」をスローガンに掲げ、さまざまな課題解決に取り組んできました。

奥田:市長就任から3年目を迎えました。美唄市は本当に多面的な魅力を持つ街ですね。

桜井市長:そうですね。観光はもちろん、産業面でも潜在的に魅力を秘めている街です。今後は街としてのブランディング、価値を分かりやすく皆さんにお伝えしたいと思っています。媒体を問わず、受け手のことをイメージしながら情報発信を続けていくことは、美唄市の課題でもあるからです。美唄の魅力をみがき、より多くの人々に知っていただく。それが私の使命でもあります。

奥田:地域の皆さんにとっては当たり前でも、他から見ると「素晴らしい!」と感じられることもたくさんありそうです。農業について感じている課題は、いかがですか?美唄市の農業産出高の半分近くは、お米が占めていますよね。環境面の変化など、今は大きな転換点にあるのではないかと感じていますが。

桜井市長:最大の課題は、農業の担い手不足です。今は農業者人口の分布は昭和30年代生まれの方々が中心となって、美唄市の農業を支えています。後継者による事業継承も進めているものの、難しさを実感していますね。農地を拡大して作る米、麦、大豆などの土地利用型作物は高収益につながりにくい側面もあります。地域おこし協力隊制度の活用や、施設・園芸の補助制度も行なっていますが金銭的な問題もあり、ハードルは非常に高いです。そのため若手の農業従事者には、スマート農業を推奨し、省力化につなげられるようにしています。

桜井市長は「国の政策に頼るだけではなく、美唄市にしかない付加価値を得ながら再生産性のある農業を継続していく必要がある」と考えているとのこと。今後は台湾などへ米を輸出し、販路拡大を目指していきたいそうです。

循環型システムによるごみの排出量削減を目指す

農業と環境政策は、密接につながっているもの。美唄市でも生ごみの堆肥化を積極的に進め、安価で良質な堆肥づくりを実現しています。

奥田:美唄市が取り組まれている環境政策について教えてください。具体的には、どのような活動をされているのでしょうか?

桜井市長:美唄市は生ごみの堆肥化に力を入れています。生ごみをしっかりと分別して堆肥化することで、畜産業がない本市においても安価に堆肥を得ることができているんです。こうしたサイクルは農業者の皆さんにも浸透しつつあり、うまく継続していけば美唄市の特徴にもなると思っています。もちろん、課題もあります。北海道の広大な農地に肥料として散布するとなると、サラサラした状態の堆肥は風に舞ってしまいます。ペレットのように固められれば使いやすいのですが、費用や運用面の実証が必要です。例えばペットボトルも化学的な再生により、リサイクル前と品質の変わらないペットボトルへのリサイクルを可能とする技術が実現されていますが、ライスレジンも有機物を化学的なレベルで捉えて新たな素材に変えていく。そこに地球を変えていくような可能性を感じました。

循環型システムへの理解が進んでいる美唄市では、ごみの排出量も減少傾向にあります。今後はリユース促進に一層力を入れ、包括連携協定を結んだ企業と協力し、不用品の再利用にも取り組んでいきたいそうです。

お米がプラスチックに!忘れられない最初の衝撃

美唄市の近隣では、ライスレジン製品が導入されている街も。主に大型スーパーでのレジ袋や、市指定のごみ袋に活用されています。

奥田:初めてライスレジンについて知った時の、第一印象についてお聞かせください。

桜井市長:最初は「衝撃」でした。お米がプラスチックになるんだという衝撃ですね。「お米=誰かが食べる」というイメージしかなかったので、それまでの自分の中の世界観が大きく変わりました。お米という身近なものから、環境への負荷を考えるきっかけになりましたね。環境問題を意識するためにはメッセージ性も、非常に重要になりますから。

奥田:ありがとうございます。かなりの衝撃というか、影響も大きかったようで嬉しいです。

桜井市長:例えばペットボトルもアップサイクルを通じたリサイクルが可能です。チップ状にしたものを再び溶かして、ペットボトルに利用していますよね。ライスレジンは化学的に再生し、新たな素材へ変えていく。そこに、地球を変えていくような可能性を感じました。

米を原料にしている点こそが、当社の最大の強み。「お米からできているなら、大切にしたい」と思ってもらえる身近な存在です。だからこそ、ライスレジン製品はより多くの人に受け入れられ、広がっていく可能性を秘めています。

「お米」への大切な想いが価値になる

最後に、美唄市とライスレジンが目指す「未来の形」について語り合いました。

桜井市長:私としては、米農家さんたちがライスレジンをどう受け止めるかが気になっています。一般消費者にとっても、お米は大切な存在です。小さい頃から「お米茶碗には一粒も残さないように」と言われるほど、「お米を大切にしたい想い」は日本人の中に根付いていると思います。だからこそ、資源を大切にする活動とつながっていけると嬉しいですね。プラスチック製品へのニーズは世界共通です。そこにお米という付加価値があれば、生産している農業者のプライドにもなりますし、活動規模も広がっていくでしょう。

奥田:他にも当社と一緒に、チャレンジしてみたいことはありますか?

桜井市長:昔は米作りが当たり前のように行われていましたが、今では輪作が一般的です。「米をたくさん作っていく」という方向へ舵を切らなければいけないと思う一方で、米価の高騰や流通が滞るなどの問題もあります。そうした課題を解決する選択肢として、ライスレジンを選ぶのもおもしろいのではないでしょうか。新しい米作りの形を求めて、協業していきたいですね。

対談を終えて

身近な存在である“お米”を生活に欠かせないレジ袋やごみ袋へと活用することで、街の魅力がより高まっていく。そんな可能性も感じることができた対談でした。スマート農業への取り組みや生ごみの堆肥化など、農業従事者を支援するための先進的な体制を整えている美唄市。だからこそ、他の市町村に先駆けて「次世代を担う米作りの道」を模索し、実現に向けて歩みを進めていけるのではないでしょうか。循環型の街づくりに向けた新たなストーリーは、すでに始まっているのかもしれません。

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