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[ 自治体編 ]
vol.11
2026.02.13

地球環境の保全につながる再生産農業の形とは?農業資源としての「ライスレジン」の可能性

北海道 芦別市
北村 真 市長

北海道 芦別市 北村 真 市長

プロフィール

北海道芦別市出身。日本大学工学部を卒業後、株式会社北村商店に勤務。2015年に芦別市議会議員に初当選。その後も3期連続で当選し、議会では議長も務めた。2025年2月に、芦別市長に就任。人口減少や少子高齢化などの社会課題に対応し、市民の声に応えるまちづくりを目指している。

 

株式会社ライスレジン 代表取締役COO 奥田 真司

プロフィール

2006年に野村證券株式会社に新卒入社。富裕層向けのリテール業務や上場企業などの法人向けコンサルティング業務を経て、戦略企画業務に従事。20205月より、バイオマスレジングループに参画。バイオマスレジン南魚沼 取締役副社長に就任した後、20224月に社長執行役員に就任。2024年より株式会社ライスレジン 代表取締役COOに就任。

北海道のほぼ中央に位置する芦別市。周囲を山に囲まれており、日本有数の星空観測スポットとしても知られています。かつては炭鉱で栄えた産業都市でしたが、現在は農業や林業が基幹産業になっています。今回は、芦別市の北村市長とライスレジン代表取締役COO 奥田が「農業政策と環境への取り組み」をテーマに、対談しました。

「星の降る里」芦別市の魅力とは

芦別市は周囲に大きな建物による光害がなく、空気もきれいなため「星の降る里」として有名。市全体の面積865キロ平方メートルのうち、およそ90%が森林に覆われている自然豊かな街です。基幹産業の一つでもある林業はインフラとしても活躍。市内の温泉施設「スターライトホテル」では、木質バイオマスを活用してお湯を沸かすなど、環境問題に配慮する取り組みを積極的に行っています。

奥田:バイオマスプラスチックのように、パルプ材をバイオマス木質チップにしたものを燃料として、お湯を沸かして活用しているそうですね?

北村市長:はい。そのため原油価格の高騰に左右されず、安定した経営をしています。市としては林業を支援しながら、観光施設の維持にも貢献できていると思っています。林業の他にも農業を基幹産業としており、海外向けに「ななつぼし」「ゆめぴりか」の玄米を輸出している株式会社芦別RICEが有名です。2024年には功績が認められ、農林水産大臣賞を受賞しました。芦別ブランドの「芦別米」も販売しており、多角化経営を実現しています。特に「ふっくりんこ」というお米は、全道No.1のおいしいお米に選ばれました。また、炭鉱時代に培われてきた技術を活かし、ベアリング製造も行われています。北日本製機株式会社は、高精度の小型・小ロットベアリングを製造している企業として、国内トップクラスのシェアを誇っています。

奥田:観光や飲食産業に関してはいかがでしょうか?芦別市の魅力について、教えてください。

北村市長:芦別の郷土料理「ガタタン」は、ご存知でしょうか?文化庁の「100年フード」にも選ばれた名物です。「100年フード」とは、文化庁が地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を登録し、継承する取り組みのこと。ガタタンは炭鉱労働者が冷えて疲れた身体を温めるために食べたと言われている、10種類以上の具材が入ったスープです。とろみのある塩味で、白玉や山菜などの地元の食材が入っています。ガタタンラーメン、ガタタンチャーハンなどを出すお店もあり、芦別のB級グルメとして人気です。炭鉱メシとして焼き肉やホルモンも人気ですね。

他にも、「カナディアンワールド」という、『赤毛のアン』をモチーフにした施設が有名とのこと。一度閉園したものの、現在は市民団体が運営を担い、『赤毛のアン』のファンが訪れる聖地となっています。原作の舞台となったカナダにはこうした施設がないため、5月〜10月の土日だけで2万人の方が来場されているそうです。アニメの声優さんを招いた朗読会なども開いており、多くのお客様に喜ばれています。

持続可能な農業のために、今できること

「農業を担うための人手が足りない」という農家からの声と向き合っている自治体も多いですが、芦別市ではどのような課題に直面しているのでしょうか。

奥田:先ほど「農業は主要産業」とおっしゃっていたように、海外への輸出量も増えてきていますね。お米づくりの現状と課題についても、お聞かせください。

北村市長:このあたりは中山間地なので、田んぼの面積がそれほど広くありません。空知川があるため水は豊富ですが、石狩川周辺のような広い土地での米づくりとは違う苦労があります。冬場は農作業が困難になるため、季節労働になってしまうという課題も抱えてきました。現在は法人による大規模農場が増え、機械化がかなり進んでいます。効率も上がり、農業と林業を組み合わせて通年雇用が可能になるなど、少しずつ現状は変わってきています。また酒米の山田錦や、本州で栽培されているようなコシヒカリ、メロンなどの様々な農作物の栽培にも力を入れています。ゆくゆくはITを駆使したスマート農業を実現し、日本酒づくりのような第六次産業にもチャレンジしてみたいです。

さまざまな社会課題に対し、最新のテクノロジーを活用しながら乗り越えていこうとしている様子が伺えました。

カーボンニュートラルの実現を目指して。脱炭素に向けた挑戦

かつては「北海道のような寒冷地では、コシヒカリの生産は難しい」とされていました。しかし近年の地球温暖化の影響で、新たに生産できる農作物が増えてきています。

北村市長:北海道は今後、日本のお米づくりを支える食料供給基地になっていくと思っています。CO2による気温上昇の影響は、明らかです。お米によるプラスチック製品が一般に流通されれば、CO2排出量にも少なからずインパクトを与えるでしょう。ライスレジンの取り組みは、まさにCO2削減にも直結していますよね。

奥田:ありがとうございます。少しずつではありますが、着実に歩みを続けていきたいですね。芦別市の環境問題への取り組みは、どのように進めているのでしょうか?

北村市長:私たちは「ゼロカーボン」に向けた取り組みを強く意識しており、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指した活動を続けてきました。非常に難しいチャレンジではありますが、市の事務事業の見直しや公共施設のLED照明への更新などを始めています。さらに市民を巻き込んだ活動も重要です。具体的には地元出身の大学教授と包括連携協定を結び、地球環境問題への理解を深める「ゼロカーボン芦別ミーティング」を開催しました。時間はかかりますが、地道にコツコツと取り組んでいきたいと考えています。

市民の理解と協力を得ながら、地球環境を守るためにできることを進めていく。その姿勢が、何よりも大切な動力源になっているのです。

新たな素材へと生まれ変わる「お米」の可能性

最後に、ライスレジンに対する印象や今後への期待について議論を交わしました。

奥田:当社は自治体と連携し、ライスレジン製の指定ごみ袋を提供することも多くあります。地域で使われずに余っているお米がアップサイクルされ、再活用につながる。そして市民の皆さんが使うごみ袋が、環境にとって良い素材に変わっていく──そうした取り組みは、市民の皆さんからの賛同を得やすいのではないかと思っています。今後も一緒に、課題解決ができれば幸いです。

北村市長:今まさに「再生産できる農業環境をつくっていこう」という話が、農家さんの中でも出てきています。今までは「お米をつくるのは大変。子どもに跡継ぎをさせたくない」という声もありましたし、耕作面積も減少傾向にありました。それでも実際に「お米がない」となると、大変な問題になりましたよね。食文化になっている以上、お米はなくてはならないもの。その可能性を、ライスレジンは広げてくれていると感じています。

再生可能な農業環境の実現において連携をしながら、積極的な意見交換を続けていくことを約束し、対談を終えました。

対談を終えて

印象的だったのは、北村市長が語る「市民とともに、時間をかけて取り組む」という姿勢です。木質バイオマスや再生可能エネルギーの導入、スマート農業への挑戦は、決して派手ではありませんが、地域の課題を解決に導く“確かな一歩”となっていくでしょう。日本の食文化を支えてきた「お米」が、環境保全につながる新たな素材として認識されれば、農業の可能性はさらに広がります。農業やお米作りの新しい形を目指されている芦別市と、お米の新たな可能性を広げたい我々とで、一歩ずつより良い未来を作っていきたいと感じました。農業環境の再生産に向けて、引き続き対話を重ねていきたいと感じました。

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