北海道北竜町 佐々木 康宏 町長
プロフィール
北海道北竜町生まれ。日本大学経済学部卒業後、民間企業を経て、1983年に家業である建設会社に入社。代表取締役社長として長年地域の産業を支える。1987年から北竜町議会議員を7期務め、副議長、議長を歴任。2024年2月、北竜町長に初当選。「国民の命と健康を守る安全な食糧生産宣言の町」としての誇りと伝統を継承し、官民が一体となった持続可能な町づくりを指揮している。
株式会社ライスレジン 代表取締役COO 奥田 真司
プロフィール
2006年に野村證券株式会社に新卒入社。富裕層向けのリテール業務や上場企業などの法人向けコンサルティング業務を経て、戦略企画業務に従事。2020年5月より、バイオマスレジングループに参画。バイオマスレジン南魚沼 取締役副社長に就任した後、2022年4月に社長執行役員に就任。2024年より株式会社ライスレジン 代表取締役COOに就任。

北海道北竜町。明治23年の入植以来、一貫してお米づくりと共に歩んできたこの町は、昭和48年から続く自然農法へのこだわりと、町を彩る200万本のひまわりで知られています。「国民の食糧を守る町」を掲げ、農業に対してどこまでも誠実に向き合ってきた北竜町と、お米の新しい価値を創造するライスレジン。両者が描く、持続可能な農村の未来について語り合いました。
50年以上前から続く、徹底した「安心・安全」へのこだわり
北竜町の農業の根幹にあるのは、明治の開拓から続く不屈の精神です。特筆すべきは、50年以上も前から「自然農法」に取り組み、化学肥料に頼らないお米づくりを実践してきたこと。その一途な歩みは、現在のブランド米「ひまわりライス」へと脈々と受け継がれています。
奥田:佐々木町長、本日はありがとうございます。北竜町のお米づくりは、非常に長い歴史と独自の哲学をお持ちですね。
佐々木町長:はい。明治23年に千葉県から入植して以来、私たちの歴史はお米と共にありました。特に環境に配慮したお米づくりは昭和48年から始めており、今年で53年目になります。当時は周りが化学肥料を使う中で、北竜町は「食糧は命」「食べ物は命」という精神を掲げ、徹底して安心・安全な米づくりを守り抜いてきました。
奥田:50年以上も前からその意識を持たれていたというのは、全国的に見ても非常に先駆的です。
佐々木町長:ありがとうございます。北竜町では全農家が生産組合の協定を遵守し、一丸となって「ひまわりライス」というブランドを守ってきました。こうした「食べ物は命」という信念で育てたお米だからこそ、食べるだけでなく、ライスレジンさんのように形を変えて広まっていく取り組みは、非常に相性が良いと感じています。北竜町自体がもともと環境負荷低減の町ですから、この新しい素材も自信を持って打ち出していけるはずです。
「食べ物は命」という初代からの精神。その揺るぎない土台があるからこそ、お米の新しい可能性であるライスレジンへの共感も、自然な形で生まれました。

ユーゴスラビアから持ち帰った「ひまわり」の種
今や町の象徴であるひまわりも、かつては一人の農協職員が海外で見つけた風景から始まりました。1軒1アールずつ植えることから始まった取り組みが、40年以上の歳月を経て、日本最大級の観光資源へと成長を遂げました。
奥田:ひまわりの里も、北竜町を語る上で欠かせないアイデンティティですね。
佐々木町長:47年前に当時の農協参事がユーゴスラビアへ行った際、飛行機から見えたひまわり畑の美しさに感動し、「これを町に持ち帰ろう」と提案したのがきっかけです。最初は各農家が1アールずつ作ることから始まりました。それが今では広大な丘を埋め尽くす200万本の絶景となり、町の誇りになっています。
奥田:農家さんお一人おひとりの手作業から始まった景色なのですね。
佐々木町長:ええ、地道な積み重ねが今の観光資源としての価値をつくってきました。お米もひまわりも、これからは形を変えてさらに活かしていきたいですね。町にはもう一つの特産品である「ひまわりメロン」や「ひまわりスイカ」もあります。今は段ボールで出荷していますが、こうしたパッケージやノベルティなどにもライスレジンさんの素材を活用して、新しい見せ方を考えていければ面白いなと思っています。
人の想いが風景を変え、文化を作る。ひまわりの歴史は、新しいアイデアを柔軟に受け入れ、育んできた北竜町の姿勢を象徴しています。

故郷への誇りを育む「北竜学」と、お米の未来
北竜町は今、教育を通じて次世代へ農業の魅力を伝える「北竜学」の創設に動いています。子供たちが町の歴史やお米づくりを学び、その可能性を肌で感じる。その未来のカリキュラムの一部として、ライスレジンの技術への期待も寄せられています。
奥田:文部科学省へ申請されるという「北竜学」、非常に素晴らしい取り組みですね。
佐々木町長:子供たちが町の歴史やお米づくりを学び、誇りを持てるようにするための学科です。ここにライスレジンさんの取り組みも「お米のアップサイクル」として加わってくれたら、子供たちにとって大きな刺激になるはずです。札幌などの都市部から来た子供たちにも、「お米ってこんな可能性があるんだ」と感じてもらいたい。
奥田:ぜひご一緒させてください。出前授業などを通じて、子供たちが将来、北竜町の担い手や応援団になってくれるようなお手伝いができれば嬉しいです。
佐々木町長:ありがたいお話です。教育は継続性が大事ですから、子供たちにお米の未来を伝えていくことは非常に重要です。また町には、お米をつくってこられた先輩方が集まる「ひまわり大学」という高齢者大学もあります。60名から70名ほど集まるのですが、そうした方々に自分たちの守ってきたお米が新しく生まれ変わる話をしていただくのも、非常に意義があることだと思っています。全世代でワクワクできるような展開を期待しています。
歴史を学ぶ「北竜学」と、未来を創るライスレジンの志。両者が重なることで、北竜町の農業は単なる産業を超え、次世代を育む「希望」へと進化していきます。

対談を終えて
「53年続く自然農法」という事実は、私たちの想像を遥かに超える重みを持っていました。 佐々木町長が語られた「お米は命」「北竜学での教育」という熱い想いは、ライスレジンが目指す「お米の価値最大化」というビジョンと見事に共鳴しています。お米を食べることで人を元気にし、お米を資材にすることで地球を守る。この二つの価値が融合した時、農業の町はもっと強くなれるはずです。 ユーゴスラビアの小さな種が40年で200万本の絶景になったように、今回の対談という「種」が、いつか北竜町のお米を原料とした循環の輪として、大きな「花」を咲かせる。そんな期待を抱かせてくれる、素晴らしい対話の時間となりました。